カレカノごっこ。
最後のデート。
結局、昨日は一睡もできなかった。
はっきりと自分の気持ちに気がついてしまった。
渉から言われた言葉で気づくなんて。
しかもその直後に渉からの告白。
もう、どうしたらいいか全然分からない。
なんで今まで渉の気持ちに気付けなかったんだろう。
だって、渉、私のこと好きとかそんな素振り見せなかったじゃん。
それとも私が鈍いだけ?
「あー、もう!」
私は布団をかぶって、考えても何も導き出さない頭をかかえた。
何も答えが出ないまま、時間だけが無駄にすぎていく。
ついに母に叩き起こされた私は、寝不足のまま幽霊のように支度を始める。
もはや頭は、なんの機能もはたしていない。
なんとか朝の準備をこなし家を出ると、渉が家の前にいた。
「新奈、おはよ」
「…おはよ」