カレカノごっこ。
伊吹くんは私をドキドキさせる天才なんじゃないかと思う。
こうやってクレープひとつ食べるだけでも、たくさんのキュンをくれる。
きっと伊吹くんと付き合う人は幸せなんだろうな。
「おいしかったねー」
「新奈のほっぺた、とろけてたね」
「あんなに美味しいもの食べて、とろけない方がおかしいし」
私たちは帰り道をゆっくり歩きながら、たわいもない会話をした。
こうやって普通に話していると、これが最後だって感じが全然しない。
やっぱり伊吹くんと一緒にいると楽しい、とか。
このまま、楽しいだけのこの関係を続けていてもいいかもしれない、とか。
余計なことを考えそうになる。
あの時、伊吹くんがスマホを教室に忘れていなければ。
私が日直の日誌をスラスラ書けていたら。
こんなことになってなかったのかな。