カレカノごっこ。
「ここ、もう少し歩くと海が見えるんだよ」
「へー、そうなんだ」
初めて伊吹くんと歩く道。
こんなところから海が見えるなんて知らなかった。
伊吹くんの言う通り、一部だけ視界が開けた場所があって、その隙間から海が見えた。
「ほんとだ」
「キレイだね」
風が、私たちの横を通り過ぎていく。
「海、行ってみる?」
「…うん」
私がまだ帰りたくないって思ってること、バレちゃったかな。
それとも、伊吹くんも同じ気持ちでいてくれてたのかな。
私たちは、海へと続く道を辿って足を進める。
どんどん前面に海が広がってきた。
「キレイ」
「だな」