カレカノごっこ。

「ここ、もう少し歩くと海が見えるんだよ」

「へー、そうなんだ」



初めて伊吹くんと歩く道。

こんなところから海が見えるなんて知らなかった。

伊吹くんの言う通り、一部だけ視界が開けた場所があって、その隙間から海が見えた。



「ほんとだ」

「キレイだね」



風が、私たちの横を通り過ぎていく。



「海、行ってみる?」

「…うん」



私がまだ帰りたくないって思ってること、バレちゃったかな。

それとも、伊吹くんも同じ気持ちでいてくれてたのかな。



私たちは、海へと続く道を辿って足を進める。

どんどん前面に海が広がってきた。



「キレイ」

「だな」

< 148 / 251 >

この作品をシェア

pagetop