カレカノごっこ。
最後に海に続く階段を降りる。
一歩先に階段を降りた伊吹くんは、私に向かってさっと手を差し伸べてくれた。
やることが、いちいちかっこいい。
私は躊躇しながらも、その手をとった。
階段を降り切ってからも繋がれたままの手。
いつもより強く繋がれたその手に、私は逆らうことができなかった。
さっきよりも風が強くなって、私と伊吹くんの髪を揺らす。
「海の匂いがする」
「秋の海もいいよな」
「そうだね」
しばらく2人で海を眺めた後、近くにあった流木に2人で腰をかけた。
「もうすぐ夕日、見られるかな?」
私は、ほんのりオレンジかかった空の色を見ながらぼそっと呟く。