カレカノごっこ。
どんどんオレンジ色に染まっていく夕日を眺めながら、伊吹くんは喋り始めた。
「渉くんってかっこいいよね」
「何急に…」
「いや、なんかクールな感じでさ。いつも新奈の隣にいて、少し羨ましかったんだよね」
え…。
伊吹くんは渉のこと、そんなふうに思ってたんだ。
「渉、クールじゃないよ」
「俺にはそう見えてたの」
なんで今渉の話をするんだろう。
そっか、私が渉とちゃんと向き合いたいって言ったからか…。
「いいと思う、渉くん。渉くんなら新奈のこと幸せにしてくれそう」
渉と向き合うって決めたのは私で。
伊吹くんはそれを受け入れてくれただけなのに。
なのに。
伊吹くんからそう言われると、すごく複雑な気持ちになった。
本当に自分勝手な自分がイヤになる。