カレカノごっこ。
「なんで…伊吹くんがそんなこと言うの?」
「だって、新奈には幸せになってほしいから」
私は、伊吹くんと一緒にいる時も幸せだったよ。
伊吹くんは私の知らない感情をいっぱいくれた。
そんな人、伊吹くんが初めてだったよ。
私は口に出しそうになった言葉をグッと止めた。
言ってしまったら、次から次へと自分の感情を喋ってしまいそうだったから。
そうしたら、もう本当に後に引けなくなるから。
「新奈と一緒にいれて、すごく楽しかった」
「うん…」
「こんな意味不明なごっこ遊びに付き合ってくれてありがとう」
伊吹くんは別れの挨拶みたいな言葉を並べる。
さっきから、それがすごく悲しい。