カレカノごっこ。
「ちゃんと現実見なきゃって。いつも無理やり付き合わせちゃってごめんね」
「無理やりではなかったよ」
「え?」
「私も楽しかった」
「うん…」
伊吹くんは照れるかのように俯いた。
もうやだ。
これじゃ、本当に最後みたいじゃん。
最初から分かってるんだ。
また伊吹くんと一緒にいると、別れが名残惜しくなるって。
だからも離れるって決めてたのに。
なのにズルズルきちゃって。
悪いのは全部私。
あーあ。
こんなに辛くなるのなら、デートなんてしなきゃよかった。
いつの間にか夕陽が沈んでいて、辺りは暗くなっていた。