カレカノごっこ。

名前で呼ばかなかったらキスするって言ったのは伊吹くんだから。

後悔するなら自分のこと責めてよね。



私は立ち上がって、伊吹くんの腕を引っぱった。

そしてバランスを崩した伊吹くんに、そっとキスをした。



ごめんね。

素直じゃなくって。

でも好きになっちゃいけないから。

これで本当に最後にするから。

泣きそうになるのをぐっとこらえて、最大限の笑顔で笑った。





「井上さんのバカ」



「え…?」



最初は何が起こったのか分からなかった。

やっと状況を理解した途端、頭が真っ白になった。





伊吹くんのキスは、すごく優しくてすごく甘かった。





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