カレカノごっこ。
渉から誘ってくるのは珍しかった。
いつもどこか行きたい時は私から誘ってたし。
でも伊吹くんのことがあってから、どこか行く気になれなくて。
ずっと寄り道せずに帰るだけだった。
伊吹くんと初めてデートした駅前のカフェの前を通りがかる。
もう、いちいち伊吹くんのこと思い出すのやめたい。
「あ、あそこのカフェ、新奈前に行きたがってたよね?」
「あー…、でも、こっちの方が美味しそう!」
私は思わず、向かいにあるアイスクリーム屋さんを指差した。
だって今、あのカフェに入っちゃったらきっと、伊吹くんのこと色々思い出しちゃうから。
ごめんね渉。
「じゃ、アイスにしよっか」