カレカノごっこ。

そんなことを考えていると、スマホを持って教室を出ていく水島くんが目に入った。

水島くんなら休んでいる理由を知ってるかもしれない。

聞いてどうするんだって話だけど。

水島くんに不審がられると思うけど。



「ちょっとトイレ行ってくるね」

「あ、うん」



桃々を教室に残して、私は水島くんの後を追った。

でもいざ声をかけようと思うと緊張する。

やっぱりやめようかなって思った時、私の前を歩いていた水島くんがスマホを耳に当てて喋り出した。



「もしもし、伊吹?お前大丈夫?」



電話の相手は伊吹くんだ。



「うん。うん。そーなんだ。まー、安心しろよ、誰にも言ってねーから」



歩いていた水島くんは途中で止まって、窓の方に寄りかかった。

後ろを歩いていた私は、そのまま止まることができず、水島くんの横を通り過ぎていく。

話の内容、気になるけど盗み聞きもよくないし…。

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