カレカノごっこ。

「その方が伊吹のためかなって。
って、ただの俺のエゴか。
俺、伊吹に本当に何も聞いてなくって、すげー寂しかったからさ。
あいつはあいつなりに知られたくない理由があるのかもしれないけど、一応友達じゃん?
俺はどんなことでも言って欲しかったなーって。
だからこのブレスレットの色違いを持ってる井上さんなら、もしかしたら俺と同じ気持ちになっちゃうんじゃないかなーって思っちゃったわけ」

「そうだったんだ…」

「って、やっぱ今のもなし。
もう1人で抱えてるのしんどくなったっつーか?
誰でもいいから聞いて欲しかったのかも」



水島くんはそう言って、今にも雨が降り出しそうな空を見上げた。

私の知らないところで、水島くんはたくさんの葛藤と戦ってたんだ。

水島くんはそれだけ伊吹くんのこと、大事に思ってるんだ。

そんなの全然知らなかったよ…。



「いいよ。水島くんの抱えてるもの、半分もらう」



私がそう言うと、水島くんは力無く笑った。



「ははっ。ありがとう…」

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