カレカノごっこ。
「井上さんは伊吹のこと、心配なんじゃないの?」
「でも、私が行ったら伊吹くん嫌がるんじゃ…」
「まー病気のこと、井上さんにも内緒にしてたってことはそうかもしれない。
じゃあ井上さんは?」
「私?」
「井上さんは伊吹に会わなくて大丈夫なの?井上さんはどうしたい?」
「それは…」
「俺はぶっちゃけ、どっちでもいいんだけどなー?」
水島くんはそう言ってブレスレットをぐるぐる回している。
「…行く」
私が小さな声でそう言うと、水島くんは笑顔を見せて、伊吹くんのブレスレットを私に渡した。
「俺が見つけたんだから、俺に感謝しろって伝えておいて」
「分かった」
私が頷いてブレスレットを握ると、水島くんは校舎の中へ入って行った。