カレカノごっこ。
「え…?なんでここに…」
「あ…、えっと。これ!水島くんから預かってて」
私はそう言ってポケットからブレスレットを出した。
そして、ゆっくり伊吹くんに近づく。
久しぶりに伊吹くんと言葉を交わす。
声が震えそうだった。
「これ、めっちゃ探したって。俺に感謝しろって言ってたよ、水島くん」
私は何とか笑顔を保ちながら、ブレスレットを伊吹くんに渡した。
「なんで…」
伊吹くんはまだ、私がここにいることに混乱しているみたいだった。
「あのね、伊吹く…」
「帰って」
「…え?」
「もう来なくていいから」
「でも…」
「帰れって…!」
伊吹くんはそう言って、自分の病室に入って行った。
病室の扉がゆっくり閉まって行く。
「あ…」
私は伊吹くんの後を追うことが、できなかった。