カレカノごっこ。

「だって伊吹くん、大事なことはいつも言わない」

「…そうだっけ?」



俺のこと興味なんてなかったくせに。

なんでそんなとこばっか見てんだろう。



「別に言いたくないなら言わなくていい」

「だったら…」

「だから私も私の好きなようにする。伊吹くんの指図は受けない」



指図は受けないって。

なんだよ、それ…。



「ははっ。新奈らしい…」



俺は呆れるように笑って。

新奈もそんな俺を見て、安堵したように笑う。



「また来てもいい?じゃなかった。また来るから」



…なんで新奈はいつもこうなんだろう。

いつもいつも。

俺はずっと、期待してしまう。



「っ……」



”来なくていい”って言わなきゃいけないのに。

俺は、それが言えなかった。


< 188 / 251 >

この作品をシェア

pagetop