カレカノごっこ。
俺の言葉でシーンと静まり返る室内。
自惚れかもしれない。
だけど今、新奈が言おうとしている言葉を聞いてしまったら、自分の気持ちを閉じ込めておくことができなくなるから。
言葉で聞いてしまったら、きっとこの先、新奈を俺の人生に巻き込んでしまうから。
新奈にはずっと、笑っててほしいから。
だから、言わないでほしい。
「私、伊吹くんのこと…全然好きじゃないから!」
新奈の声が病室に響く。
まるで、俺の心の中を覗かれているようだった。
「だからまた来るから!クラスメイトとして!自惚れないでよね」
新奈はそう言い捨てて、そのまま病室を出て行った。
また静まり返る室内。
俺は、
新奈のなんでもはっきり言う性格が好きだった。
新奈のコロコロ変わる表情が好きだった。
自惚れならそれでいい。
「それでいいよ…」