カレカノごっこ。

親には反対されたけど、押し切った。

俺を病気だと知らない人と一緒にいたかったから。

知ってる人は俺に気を使う。

それが、すごく居心地悪かった。

無理して平気なふりするのも疲れていたから。

家族と過ごす時間も少しずつ減っていった。



病院も1人で行けるようになったし。

高校では俺の病気のことを知っている奴もいない。

病気とは関係なく、ただ普通に学生生活を送りたかった。



高校生活も慣れてきた頃。

いつものように、仲良くなったクラスメイトと学食へ行った時だった。



「伊吹の弁当っていつもうまそうだよな」



みんな学食だけど、俺は毎日弁当を欠かさなかった。

母親は俺の食事を気にかけて、朝昼晩、手間をかけて作ってくれている。

そのおかげもあって、今まで症状が悪化することはほとんどなかった。

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