カレカノごっこ。
「もらいっ」
そう言って卵焼きを持っていくのは、一番最初に仲良くなった蓮だった。
「うまっ!」
うまそうに食う奴。
でもその後ろで、学食をもっとうまそうに食べていた女子がいた。
「美味しい!学食ってこんなに美味しかったの!?」
その声は俺の席まで聞こえてきて、思わず笑ってしまった。
「今、笑うとこあった?」
「いや、あまりにもうまそうに食うからさ」
「いや、お前のかーちゃんが天才すぎ」
「蓮に言ってない」
「あん?じゃあ誰に言ったんだよ」
それからは、よくその女子を学食で見かけるようになった。
ネクタイの色が同じだから、同級生っぽい。
毎食、初めて食べるかのように美味しそうに食べている彼女は、友達に”にいな”と呼ばれていた。