カレカノごっこ。

井上新奈。

1年1組。

食べることが好き。



そんな彼女の後ろの席に、たまたま座った時。

彼女の友達が落ち込んでいるみたいで、彼女はそれをなぐさめていた。

いつも遠くで眺めることしかしていなかったから、近くにいる彼女にちょっとレア感。



「急にだよ?なんでって感じじゃん」

「ちゃんと理由言ってほしいよね」

「本当だよー。そのままぱったり音沙汰なし。まじでどん底。お先真っ暗」



どうやら友達の方は彼氏にフラれたばかりのようだった。



「桃々さ、”暗闇の中でこそ、星が輝いて見える”ってよく言うじゃん?」

「なにそれ、初めて聞いたんだけど」

「誰かの名言?本当に大切なものは辛い時こそよく見えるもんなんだよ。ほら今私、輝いてない?」

「うわ、自分で言う人いる?」

「ここにいまーす」

「身に沁みます。って全然慰めになってないんだけど」

「ごもっともです」

< 199 / 251 >

この作品をシェア

pagetop