カレカノごっこ。
2年生の春。
「まじで?」
俺は井上さんと同じクラスになれた。
今まで遠くからしか見ることができなかったけど、同じクラスならクラスメイトとしてなんでもない話をしたりできるかもしれない。
それだけで浮かれた。
同じクラスに井上さんがいる。
そう思うと、にやけてくる自分が少し気持ち悪かった。
けど、これから学校に来れば毎日井上さんに会える。
でも席が遠い。
結局仲のいいグループも違って、同じクラスにいるのに喋る機会がほとんどない。
委員会も一緒になれなかったし。
一緒なクラスになれたこと以外、ことごとくついていなかった。
自分から話しかけにいけばよかったんだけど。
井上さんにはそれができなかった。
別に人見知りするタイプでもない。
割と誰とでもすぐに仲良くなれるはずなのに。
井上さんに対しては、言葉が喉の奥でつっかえてしまう。