カレカノごっこ。

とっさに出た俺の言葉に、井上さんはびっくりしている様子だった。

それもそうだよな。

全然喋ったことない奴から、急に手伝うとか言われてもって感じだよな。

俺だってそう思うよ。

けど言ってしまったものはしょうがない。



俺は、井上さんの席に近づく。

今までにない距離感に井上さんがいる。

それだけで舞い上がった。



あれ、そういえば今日は彼氏と一緒じゃないんだ。

なんで1人でいたんだろう。

そんな疑問が頭に浮かぶ。

日誌を書き終わった後、無意識に言葉に出ていた。



「ねえ、今日は彼氏と一緒に帰らないの?」



彼女からの返答は意外なものだった。

だって、彼氏じゃないって言うんだから。



彼氏じゃないんだ。

へー。

そうなんだ。

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