カレカノごっこ。
やっぱり渉に対しての気持ちは、恋愛のそれとは違った。
小さい頃から一緒に遊んでくれた、気の合う友達。
いつでも私を守ってくれる優しいお兄ちゃん。
変なところは怖がりで、守ってあげたくなるような弟。
私にとって、渉はそんな存在。
「これからも幼なじみでいたい」
「それは無理かな…」
「…そっか」
ある程度は覚悟していた。
もう仲良しの幼なじみでいられなくなるのが怖かったから、私は渉への返事を躊躇していた。
でも私は渉の気持ちに答えることができないから、こうなっても仕方なんだ。
「新奈に好きな人がいなくなったら、また仲良くしてあげてもいいけど?」
「あはは、なにそれ。もしかしてワンチャン狙ってる?」
「狙ってる」
「だから無理だって言ってるのに」
「無理って言うな。10年後、どうなってるか分かんないだろ」
「どんな先まで見据えてんの」
私は呆れながら言うと、渉は笑った。