カレカノごっこ。

前に渉から恋愛的なニュアンスの言葉を聞いた時、どういう反応をしていいのか分からなかった。

だけど今はやっと、友達としてちゃんと返せている気がする。



「俺も新奈に言わなきゃいけないことがあるんだ」

「え、なに?」

「駅で急にキスしてごめん」

「…あ〜、あれね」



やっぱりあれ、キスだったんだ。



「なんか、線路挟んで見つめあってる新奈と皆藤見てたら、いても立ってもいられなくて」



そうだったんだ。

そんなところを渉に見られていたのかと思うと、すごく恥ずかしい。



「新奈の了承も得ずに、本当にごめん」

「ホントだよ。あーあ、私のファーストキスだったのになー」

「え?!」



渉のびっくりしている顔を見ると、なんだかおかしくなってきた。



「別にもう気にしてないよ」



謝るのは私の方だよ。

ずっと渉の好意に甘えて来たのに、その気持ちに答えられない私が悪いんだ。

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