カレカノごっこ。
「だって、なんかもっとあるじゃん。同情されるのがイヤだったとか。心配かけたくないとか」
「新奈は男心が分かってないんだよ」
伊吹くんの布団にこもった声が聞こえる。
「何それ」
私が唖然として声も出せないでいると、伊吹くんがこちらの様子を伺うように布団から少しだけ顔を覗かせた。
「あきれた…?」
「うんん、ちょっとびっくりしただけ」
そっか。
伊吹くんは私より要領がよくて、いつも余裕があって。
デートの時だって、私ばっかりドキドキさせられて。
伊吹くんは私よりずっと大人だと思ってた。
けど、違っていたのかも。
「新奈の前では、かっこいい自分でいたかったんだよ…」