カレカノごっこ。

ずっと布団をかぶったままの伊吹くん。

今、伊吹くんがどんな表情をしているのか見てみたくなった。



「ねえ、いい加減布団から顔出したら?」



そう言って布団をめくろうとすると、めくられないように抵抗する伊吹くん。



「ねえ、伊吹くんってば」



私が布団をさらにひっぱると、伊吹くんはもう抵抗してなくて。

大きく開いた布団の中に私まで潜り込む形になった。

目の前に伊吹くんの顔が映る。



「かっこ悪いって言った仕返し」



伊吹くんは意地悪な顔でそう言ったかと思うと、そのまま私をぎゅっと抱きしめた。



「その後、かっこいいって言ったじゃん…」

「もっと言って?」

「…ナルシストか」

「そうかも」



伊吹くんはそう言いながら腕の力を強めて。

でもそれが心地よくて。

私の心臓の音か、伊吹くんの心臓の音か分からないくらい。

ドクドクと鼓動を鳴らしていた。


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