カレカノごっこ。
ずっとこのままでいたいなって思っていたら、点滴のエラー音が鳴って。
でも伊吹くんはそのまま動かなかった。
「なんか鳴ってるよ?」
「いつものことだから大丈夫」
って、大丈夫じゃないから鳴ってるんだよね?
「ほら、看護師さん呼ばなきゃ」
「もうちょっとだけ」
伊吹くんはすっかりいつもの伊吹くんに戻っていた。
でも外で看護師さんの声が聞こえて、すぐに布団から顔を出した。
廊下を通りかった看護師さんが音に気がついて入ってきたのだ。
看護師さんは手慣れて様子で、点滴を触って、「また鳴ったら教えてね」と言って出ていった。
「危なかったね」
そう言った伊吹くんは、なんだか嬉しそうで。
もう一度私に笑ってくる日が来るなんて思ってなかったから、すごく嬉しかった。