カレカノごっこ。

「行こっか」


今日はプラネタリウムを見に行く約束をしていた。

電車に乗ると、座る席が空いていなくて、入り口付近に2人で立った。

電車に乗ってからも、ずっと手を繋いだままで、ちょっと恥ずかしい。


「…手術、大丈夫だった?」

「うん、この通りめっちゃ元気になった」

「それなら良かった」


伊吹くんはにっこり笑う。

手術前も伊吹くんが元気ないところなんて見たことなかったから、私からしたらいつも通りの伊吹くん。

今思えば、辛い時も無理していたのかもしれない。


「まだ通院とかしなきゃいけないけど、透析に通ってた時ほど時間の拘束もないし、ご飯の制限もだいぶ緩くなったんだ」

「そっか」


伊吹くんは私の心配そうな顔色を伺ってか、手術後の話を色々してくれた。

今まで大事なところは全然言ってくれなかったから、ちょっとだけ嬉しい。

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