カレカノごっこ。
「…それはよくないね」
「でしょ?もう遅いけどね」
伊吹くんの顔がどんどんと近づいてきて。
キスされると思って目をつぶっても、なかなか触れられない。
ゆっくり目を開けると、伊吹くんはまっすぐに私の目を見ていた。
「っ…!」
「キス待ちの新奈、かわいー」
いつも余裕の伊吹くんを、ちょっと分かったつもりでいたけど。
伊吹くんの方が断然上手だった。
もう変に反撃しないでおこうと心に誓った。
「そろそろ始まるね」
「…うん」
プラネタリウムはすごく綺麗で。
他にもいっぱい人がいるはずなのに、伊吹くんと2人だけの空間のように感じて。
すごく幸せだった。