カレカノごっこ。
「手術も絶対しないって、決めてて。みんなに迷惑かけたくなかったから。でも、俺が手術するって言ったら家族みんな喜んでくれた。俺のわがままなのに、喜んでくれたんだ」
「うん…」
「部活のことも新奈のことも、やりたいこと全部、勝手に諦めてて。でも新奈のことはやっぱり諦められなくて…。だから、今こうやって隣にいてくれて、弁当作ってくれて、俺がしたかったこと、全部叶えてくれて。本当、夢見たい」
「夢じゃないよ」
夢じゃない。
「うん…」
伊吹くんはその後も目に涙を浮かべながら、お弁当を食べてくれた。
私は、伊吹くんのために料理を頑張ったけど。
伊吹くんはきっとそんな私の頑張りなんか比じゃないくらい、いつも頑張っていて。
そんな伊吹くんが私に望むことがあるなら、なんだって叶えたいと思った。