カレカノごっこ。
もう一回、真剣な顔でそう言う皆藤くん。
くぅ…。
やっぱり皆藤くんてしぶとい。
皆藤くんの声はさっきより低くて、なんかドキドキする。
…まあキスされるよりは。
「…伊吹くん」
もう一度慣れない名前を呼ぶ。
やっぱりちょっと恥ずかしくて、皆藤くんを直視できなかった私は下を向く。
すると目の前に立っていた皆藤くんは、私に一歩近づいて、私の顔を覗き込んだ。
「もう一回」
まさか覗き込まれるなんて思っても見てないから動揺する。
しかも顔、近いし。
「…伊吹くん?」
「くん外して?」
「…伊吹」
「よくできました」
皆藤くんはキレイな顔で笑って、私の頭を軽くなでてた。