カレカノごっこ。

もう一回、真剣な顔でそう言う皆藤くん。

くぅ…。

やっぱり皆藤くんてしぶとい。


皆藤くんの声はさっきより低くて、なんかドキドキする。

…まあキスされるよりは。


「…伊吹くん」


もう一度慣れない名前を呼ぶ。

やっぱりちょっと恥ずかしくて、皆藤くんを直視できなかった私は下を向く。

すると目の前に立っていた皆藤くんは、私に一歩近づいて、私の顔を覗き込んだ。


「もう一回」


まさか覗き込まれるなんて思っても見てないから動揺する。

しかも顔、近いし。



「…伊吹くん?」

「くん外して?」

「…伊吹」

「よくできました」


皆藤くんはキレイな顔で笑って、私の頭を軽くなでてた。

< 30 / 251 >

この作品をシェア

pagetop