カレカノごっこ。
「人目が気になるから。お願いだから離して」
仮にも人気者の皆藤くんと手を繋いで下校してたとか噂になったりしたら、皆藤くんが嫌がる面倒なことになる予感しかしない。
付き合ってもいないのに、そうなると私も面倒だ。
私の言葉を聞いて皆藤くんはピタッと足を止めた。
「人目がないところだと繋いでいいんだ?」
それは悪魔のような笑みで、皆藤くんは笑う。
「ちがっ…!」
必死な私と裏腹に皆藤くんは余裕そうに笑って私の手を離した。
完全に皆藤くんのペースだ。
「ごめんね。新奈がいい反応するから、ついいじめたくなっちゃって」
「皆藤くんっていつもその調子なの?」
「あ、今苗字だった」
「伊吹!伊吹くんは!」
「ちょっと必死過ぎなんだけど」
皆藤くんは堪えきらないかのように肩を揺らして笑ってる。
だって。
キスは好きになった人としたいじゃん!