カレカノごっこ。
電車に乗り込むとすごい混んでいて、いつも以上に車内はぎゅうぎゅうだった。
私と渉は扉付近に立つことになった。
なのに、私は全然苦しくない。
渉が私をかばってくれてるんだ。
渉はいつも優しい。
「私は大丈夫だからもっと寄っていいよ?」
「俺は大丈夫だよ」
「いいから」
そう言って渉の腕を引っ張った。
渉は私を心配するくせに、渉自身のことはおろそかになっているのを知っている。
「なにすんの?」
「寄りかかっていいよ。ちょっとは楽しなよ」
私は渉が心配だからそう言ったのに、渉はなぜか眉間にシワを寄せた。