カレカノごっこ。
「新奈?さっきからどうしたの?」
「なんでもないよ!あ、桃々トイレ行こ!」
「うん」
あの場からの脱出成功。
もし、桃々の席が離れていたら、そこに避難できたのに。
前後だから逃げるすべがトイレしかない。
運がいいのか悪いのか。
そしてトイレから戻ってくると、伊吹くんは私の席に座っていた。
いやいや。
水島くんと席近いんだからさ?
わざわざ私の席に座らなくてもいいじゃん…?
「あれ、皆藤くん新奈の席にいない?」
桃々はそんなことを言いながら自分の席に向かう。
言う?
「どいて」って言う?
言えばいいんだよ。
だってそこは私の席なんだし。
でも、盛り上がってる伊吹くんの邪魔はしたくなくて、私は桃々の席の隣の席を借りることにした。