カレカノごっこ。

え?



「…今なんて?」

「だから俺とデートして」

「私と?」

「ここには井上さんしかいないじゃん」



皆藤くんはそう言って私の目をじっと見つめてくる。

初めてこんなにしっかり皆藤くんの顔を見た気がするけど、本当に整った顔だな。

そのキレイで整った目に見つめられていると思うとなんだか恥ずかしい。

皆藤くんは本気なのか冗談なのか、よく分からない。



「な、なんのために…?」



そうだよ。

からかっているにしても意図が分からない。



「井上さんのこともっと知りたいから、って理由じゃダメ?」



皆藤くんの甘えるようなまなざしと発言は、とんでもなく破壊力があった。

不覚にも心臓が飛び跳ねてしまう。

あ、あれだよ?

デートしたいなんて初めて言われたから、びっくりしただけ。



「いや、うーん…」



もしかして、皆藤くんって実は私のこと…

なんて己惚れかけた時、皆藤くんがまた口を開いた。

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