カレカノごっこ。

後ろの席の水島くんが落とした消しゴムが、私の足元で止まった。

消しゴムを拾おうとする私と、それを眺める伊吹くん。

構わず拾って水島くんに返すと、水島くんはお礼を言って消しゴムを筆箱にしまった。

それを見届けて前を向き直す時。

また、周りのみんながよそ見している隙に、伊吹くんの顔が近づいてきた。



くるっ…?

体にぎゅっと力が入る。






「他の男なんて見ないで」







「っ…!?」



聞き間違いじゃないかと思って伊吹くんの顔を見ると目が合う。

いや、消しゴム拾っただけだし!?

伊吹くんの言葉は日に日にアップグレードしている気がする…。



伊吹くんとは目があったまま。

よし。

よく分からない内緒話に終止符を打つべく、私は意を決して反撃した。





「伊吹くんしか見てないよ」




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