カレカノごっこ。

「相変わらず渉くんと仲良しだねー」



そう言ってニコニコしてるのは桃々。



「普通だよ」

「ねー、知ってる?渉くん最近サッカー部に入ってから、女子に人気あるんだよ」

「へ、渉が?」



桃々はテニス部で、サッカー部が使っているグラウンドのすぐ隣にテニスコートがあるから、たまに渉情報を私にくれる。



「新奈はそばにいすぎて、感覚が麻痺しちゃってるんだよ。身長も高いし優しいし?かなり優良物件だと思うんだけどな」

「そうかなー」



今までずっと近くにいたから、よく分からなかったけど、桃々が言うならそうなんだろう。

そういえば、今まで渉に彼女がいるとか聞いたことがない。

もしかしたら私が渉の恋愛邪魔してる…?

そう思うと、渉に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



「私、渉と一緒にいるの、もっと控えようかな」

「なんでそうなるのよ」

「渉の恋愛、邪魔したくない」

「え?本気で言ってる?」



なぜか桃々は呆れ顔をした。



「渉くんが不憫ね」



そう付け加えて。
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