【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ




花火が終わると、俺たちは駅へ向かった。


乗り込んだ車両は降車する人が多く、ふたりで並んでシートの端っこに座ることができた。


夜も更けて、電車を真っ暗な闇が包み込んでいる。


電車に揺られながら今日一日を思い返す。

なんて充実し幸せな日だっただろう。

絶望し死をも覚悟した翌日が、こんなにも満たされた一日だったなんて。

明日はなにが起こるかわからないものだ。


胸元で輝くペンダントに視線を落とせば、勝手に頬が緩みそうになって下唇を噛みしめる。


小坂にはもらってばかり。

目に見える宝物と、目には見えない宝物とがどんどん増えていく。


俺は隣の小坂に視線を移す。


「疲れたか?」


はしゃいでいたし、一日中草履できっと疲れただろうに、小坂は疲れを見せず笑顔を絶やさなかった。


「ううん、全然」


首を横に振って笑う小坂。

けれどしゅるしゅると力が抜けるように、眉尻が下がる。


「なんて。本当はちょっと疲れたかな。ねぇ、寄りかかってもいい?」

「ああ」


頷けば、小坂が頭を倒し、こてんと俺の肩に寄りかかってきた。

左肩にかかるわずかな重みと温もりが愛おしい。
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