【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
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昼食を食べ終えると、俺は家を出た。
待ち合わせ場所の駅に向かう足取りは、自然と急いでしまう。
小坂に一秒でも早く会いたかった。
一秒でも長く、あの黒目がちな大きな瞳の中に映っていたかった。
そうして結局駅に着いたのは、約束の午後1時よりも20分も早かった。
小坂を駅で待つ間、意味もなく何度もズボンのポケットにしまってある贈り物に触れてしまう。
今日このプレゼントを贈り、想いを告げるつもりだった。
そわそわしながら待っていると、約束の10分前にその姿は現れた。
小坂は遠目に俺の存在を認めると、その途端ぱっとその表情を輝かせ、「榊くん!」とこちらへ駆け寄ってくる。
白地に小花柄が舞うワンピースを纏った小坂は、今日も太陽もかすむくらいに笑顔が眩しい。
俺もつられて頬が緩む。