【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
『それなら悠心の分も私が笑ってるね。私、笑うの得意だから』
『ああ、お願いする』
『うざがらないでよね』
『うざがらねぇよ』
『例え悠心がいやだって言ったって、私は悠心の隣から離れないから。覚悟しててね?』
『はいはい。覚悟しとく』
無愛想で無口なせいで、俺は小さい頃から友達ができなかった。
そんな俺の隣でいつだって笑ってくれていたのが紗友だった。
だからいつの間にか自然と人が集まり、囲まれていた。
どんな記憶にも隣には紗友がいる。
――告白しよう。
透明だったそんな決心が心の中でたしかな色をつける。
毎日一緒にいるから、つい言いそびれてしまう。
今の関係を壊すのが怖くて、明日でいいかと先延ばしにばかりしてきた。
物心つくのと同時に、俺は自分の中にある感情を自覚していたというのに。
すると、隣で紗友が静かな声で俺を呼んだ。
ほんの少し力がこもったような、そんな響きで。
『ねぇ、悠心』
『ん?』
『今日の放課後、話したいことがあるの』