【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
「記憶を失って、でももう一回紗友のことを好きになった。何度やり直してめぐり合っても、俺は紗友を好きになるんだと思う」
すると紗友が俺を見上げてきた。
光の射す透明な眼差しを潤わせて。
「ありがとう、悠心。私のことを好きになってくれて」
瞳いっぱいに涙を浮かべ、それでも綺麗に微笑む紗友が、とても美しいと思った。
俺は腕を伸ばし、紗友の肩を抱き寄せる。
それを合図に、紗友が身を委ねるようにこてんと俺の左肩にもたれかかってくる。
「……ごめんね。私たち、彦星と織姫よりも遠ざかっちゃうね」
絡め合った指を握ったり開いたりしながら、紗友がぽつりと静寂の中に声を落とす。
繋いだ手から彼女の切なさが流れ込んでくるようで、抗えない現実に胸が鷲掴みされて息をうまく吸えなくなる。