【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
「でもね、私、寂しくないよ。悠心が抱えきれないくらいたくさんくれたから。嬉しい言葉も、きらきらした思い出も。もう充分すぎるくらい幸せ。どんなにつらい結末が待っているとしても、やっぱりこうしてもう一度出会えてよかったと思えるのは、悠心のおかげだよ」
その声の深層に、紗友の決心が見えた。
今日を明るく笑顔で過ごそうとしている、健気な決心が。
なにか言うべきだったのかもしれないけど、なんて言うべきかわからなかった。
どんな言葉を口にしたとしても、情けないほど声がよれよれになってしまうことは目に見えていた。
紗友には明日がない。
その容赦のない事実が立ちはだかって、打ちのめされそうになる。
なんで同じ思い出を積みあげていけないんだろう。
なんで明日も一緒にいられないんだろう。
なんで一緒に年を重ねられないんだろう。
俺は次から次へと溢れる理不尽を噛み殺すように、俺は紗友の手を握る手のひらに力を込めた。
一秒の空白すらも惜しかった。