【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ




日が暮れ始めた頃、俺たちは紗友のリクエストで遊園地に行った。

昔、学校の遠足で行ったことのある遊園地だ。


園内には陽気でポップな音楽が流れ、学生やカップルで賑わっている。


「混んでるな」

「ほんとだね」

「でもこれは夢なんだよな」


目の前に広がる景色全部、俺が作り上げている夢だと思うと、なんだか不思議な感覚だった。

夢というのは自分ではなんのコントロールもできないもの。

夢の仕組みなんてとうてい理解もできない。


「俺はなんで1日ずつちゃんと夢を刻めたんだろ……」


眠り続けているのなら、夢は境目もなくただ平面であるような気がするのに、俺の夢はちゃんと1日1日が分かれて独立していた。


ぽっと浮かんだ疑問をひとりごちれば、隣の紗友があるひとつの答えへ導いてくれる。


「私も詳しいことはわからないけど、多分悠樹くんのおかげだと思うな」

「悠樹?」


思いがけなく飛び出したその名前に、俺は驚いて紗友を見る。

紗友は柔らかい眼差しで、遠くの空を見つめている。
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