【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
*
日が暮れ始めた頃、俺たちは紗友のリクエストで遊園地に行った。
昔、学校の遠足で行ったことのある遊園地だ。
園内には陽気でポップな音楽が流れ、学生やカップルで賑わっている。
「混んでるな」
「ほんとだね」
「でもこれは夢なんだよな」
目の前に広がる景色全部、俺が作り上げている夢だと思うと、なんだか不思議な感覚だった。
夢というのは自分ではなんのコントロールもできないもの。
夢の仕組みなんてとうてい理解もできない。
「俺はなんで1日ずつちゃんと夢を刻めたんだろ……」
眠り続けているのなら、夢は境目もなくただ平面であるような気がするのに、俺の夢はちゃんと1日1日が分かれて独立していた。
ぽっと浮かんだ疑問をひとりごちれば、隣の紗友があるひとつの答えへ導いてくれる。
「私も詳しいことはわからないけど、多分悠樹くんのおかげだと思うな」
「悠樹?」
思いがけなく飛び出したその名前に、俺は驚いて紗友を見る。
紗友は柔らかい眼差しで、遠くの空を見つめている。