【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ




頭上で鳥が呆けた声で鳴きながら飛んでいく。


昼休み。俺は屋上に一脚だけある雨ざらしで錆びたベンチに座り、購買部で買ったコッペパンにかぶりついた。

中身を気にせず適当に買ったから、ジャムだったことにかぶりついて初めて気づく。


普段は立ち入り禁止の屋上が、俺の秘密の憩いの場になっていた。

屋上の扉の鍵が壊れていることは、ほとんど知られていない。

時間を潰す場所を探して校内をうろうろしていたところ、最後の賭けで訪れた屋上が施錠されておらず、呆気なく開いたのだ。


教室で独りで食べているとひどく浮くし、だれもいない屋上は息抜きをするにはうってつけだった。


俺はポケットの中に忍ばせていたハンカチを、意味もなく取り出してみた。


転校生は、休み時間になるとあっという間にクラスメイトに囲まれ、話題も人気も一気に搔っ攫っていった。

すっかりクラスの雰囲気に打ち解け、記者よろしく矢継ぎ早に質問を繰り出すクラスメイトたちにも楽しそうに対応しているのを見かけた。

カーストトップの一軍集団にも話しかけられていたから、仲間入りするのも時間の問題だろう。


……俺とは大違い。

多分、そもそも住む世界が違う。

昨日たまたま交わってしまったのは、なにかの誤作動だったのだ。


そんなことを考えながらハンカチをポケットの中にしまい、もう一度コッペパンにかじりついた時、屋上にひとつしかない扉が開く音がした。そして続けて。


「見つけた」


聞き覚えのある声が降ってきた。
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