【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

「悠樹くん、毎日悠心のお見舞いに行って、意識のない悠心に話しかけてるの。『今日は何日だよ』とか『朝だよ』とか。悠心の意識がそれを聞いてるんだ思う」


悠樹に思いを馳せれば、胸の中にある罪悪感がざりっと音を立てる。


なにもなかった俺は、すべてを持っている悠樹に一方的に劣等感を抱き、卑屈になることもあった。

それでも悠樹はこんな俺を兄として見ていてくれた。

俺を認めてくれる存在はすぐそばにいたのに、そんなことにも気づけなかったのは、小さな檻の中に閉じこもるだけで、一歩踏み出して大きな世界を見渡す勇気を持てなかったせい。


「悠樹にお礼を言わないとな」

「そうだね」


いつか言えるかと思って、いつまでも隣にいると思って、そうして先延ばしにして俺は取り返しのつかない過ちを犯した。

時間は有限。

なんてことない顔して毎日は過ぎていくけれど、今ある環境は当たり前じゃない。

だから素直な気持ちは言葉にして、後悔のないよう相手に伝えなければならないのだ、きっと。





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