【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
上下に揺られながら紗友がはしゃぐ。
「楽しい! ね!」
光が反射するその瞳は、無数の星を閉じ込めたようにキラキラ瞬いている。
「ああ、楽しいな」
俺は思わずスマホをポケットから取り出しカメラを起動させると、屈託なく笑う紗友にスマホを向けていた。
そして小さな四角の世界に閉じ込める。
これは夢の中。
だから写真に撮ったところでなにも残らないだろうということは薄々理解していて、それでも手は止まらなかった。
意味のない行為だとは頭ではわかっていても、ついその笑顔をなにか形に残るように保存しておきたいと思ってしまった。
目に焼きつけるにはあまりに眩しすぎて。
楽しいのに、楽しさを覚えれば覚えるほど、それと同じくらいに切なさが募る。
この時間がもうすぐ終わってしまうことを知っているから。
どんな代償でも払うから、この夜が明けなければいいのに。