【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
熱くこみ上げてくるそれをこらえることはできない。
悲しみと切なさは大粒のしずくとなってとめどなく溢れ、その止め方を知らなかった。
「会いに来てくれてありがとう。俺の世界を救ってくれてありがとう」
口をついて出るのは、やっぱり感謝の言葉でしかなくて。
空っぽだった。
無味乾燥な毎日を、ただ息だけして生きていた。
でも紗友がいてくれたから、自分の心臓が動いていることに気づいた。
肩口に、濡れた感触が広がっていく。
そして紗友は、耳元で一音一音を噛みしめるように紡ぐ。
必死に涙をこらえるようにしながら。
「悠心は私の生きた証なんだよ」
輝きと切なさに満ちた言葉を紗友が俺に授けてくれる。
俺にはもったいないくらいのその言葉を、両腕をいっぱいに広げて受け止める。