【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
力のない動きで悠樹を見上げれば、悠樹の視線は俺の胸元に注がれていて。
「そんなペンダントなんて着けてたっけ」
「……え……?」
震える眼差しで胸元に視線を落とした俺は――……、
「兄さん? どうしたの!?」
動揺した悠樹の声が降ってくる。
けれど、俺は堰を切ったように溢れてくる涙を止められなかった。
「……っ、ううっ……」
そこには、紗友が俺にくれた羽のペンダントが輝いていた。
ペンダントを握りしめれば、そこにあることを実感することができて、それは余計に涙の波を増幅させた。
瞼の裏に、花火大会で俺にこのペンダントをくれた時の紗友の笑顔が甦る。
紗友がいた証はここにあった。
たしかに、たしかにいたんだ。紗友は。
どんなに強くこぶしを握り締めようと、どんなに歯を食いしばろうと、溢れ出てくる涙を止めることなんてできなかった。
悠樹の前であることも忘れて、俺は涙を流し続けた。