【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

仏壇に飾られた写真に視線を移す。

写真の中で屈託なく笑う紗友が、俺に向かって笑いかけてくれているような、そんな錯覚を覚える。


すると、膝の上で握りしめていたこぶしに、おばさんの手が重ねられた。


「ありがとう、悠心くん。あの子の隣にいてくれて」


しんと張り詰めた空気を揺らしたおばさんの声に、心が震えた気がした。

息をうまく吸えなくなる。

俺というちっぽけで無力な存在が、だれかに感謝される日が来るなんて。


「悠心くんは、紗友の分も幸せになって。お願い」


涙をこらえながらも切実に俺を見据えてくる瞳が、記憶の中の紗友の瞳と重なった。

黒目がちの瞳は、母親譲りだったのだということを今更思い出す。

だからかおばさんの言葉は、まるで紗友の言葉のように感じられて。


「……はい」


俺は意志とその二文字を噛みしめるように頷いた。
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