【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

するとおばさんが、なにかを思い出したように「そうだ」と声をあげる。


「悠心くんに見てもらいたいものがあるの。取ってくるから、ちょっと待っててくれる?」

「わかりました」


立ち上がると、おばさんはリビングを出て行ってしまった。

急くおばさんの足音が階段を登っていく。

二階には、紗友の部屋があった。


そして間もなく戻ってきたおばさんの手には、見覚えのあるノートが。

それは、紗友がスケジュールを書き込んでいた、黄色い手のひらサイズのノートだった。


「それ……」

「このノート、いつの間にか紗友の机の上に置いてあってね。見覚えがないんだけど、悠心くん、知ってる?」


俺は飛びつくように、そのノートに反応していた。


「そのノート、見せてもらっていいですか?」

「ええ、もちろん」


ノートを受け取ると、膝立ちになったまま表紙を開く。

焦りからか指先が震え、うまくページをめくれない。

もつれながらやっとのことで開くと、そこには見慣れた紗友の字が並んでいた。





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