【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
ノートは、紗友の柔らかく綺麗な字で埋まっていた。
涙でぼやけて、何度も何度も文字を追い直さなければいけなかった。
「ふ……う……」
恋しさが洪水のように胸にせり上がってくる。
泣くな。泣くな。
膝を叩いて自分を叱責しても、涙は止まることを知らない。
ところどころに涙が落ちた跡がつき、紙がよれている。
紗友はいったいどんな思いで、この日記を記したのだろうか。
そっとそこに触れてみれば、紗友の悲しみが伝わってくるようで。
自分は消えてしまうという想像も絶するほどの葛藤や苦しみを抱きながら、俺の前ではいつも笑っていた。
どんなに悔しかっただろう。
どんなに怖かっただろう。
紗友の絶望はどんなに思いを馳せても余りある。
でも、そうして紗友があの奇跡の1週間を俺にくれたから、俺は今ここにいる。
まだまだ一緒にいたかった。
来年の花火大会、一緒に行きたかった。
今度は俺がプランを立てて、紗友をいろいろなところに連れていってやりたかった。
一緒に手を繋いで登校したかった。
春はお花見をして、夏は海に行って、秋は紅葉を見て、冬は雪合戦して。
そうやって紗友の隣で四季を感じていたかった。