【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
『私に君の一週間を預けてみない?』
『……嬉しくて。その……私に興味を持ってくれたことが』
『榊くんと一緒だから、世界はこんなに綺麗なんだよ』
『榊くんがもがいてること、私はちゃんと知ってるよ。懸命に生きてる』
『私が生きる理由は榊くんだったんだよ』
『もし生まれ変わったら、私はまた榊くんに会いにくるね』
たくさんの彼女の笑顔が走馬灯のように駆け巡る。
いつだって紗友は、だれより楽しそうに、世界のきらめきを反射させて笑っていた。
紗友が隣で笑っていてくれれば、俺は無敵になれる気がしていたんだ。
……うじうじするのは、もう最後にする。
心配性な君に、これ以上心配をかけるわけにはいかないから。
だからどうか今だけは、君の思い出に縋って涙を流すことを許してほしい。
ぽろぽろと涙をこぼす俺の背中をさすってくれたのは、おばさんの手だった。
俺はノートを胸に抱きしめ、そこにたしかに紗友を思いながら、涙が枯れるまで泣き続けた。